dump と restore は伝統的な UNIX のバックアッププログラムで、ファイルシステム
単位で処理を行うのが特徴です。これらは、ドライブのファイルシステム上の
ファイル、リンク、ディレクトリをディスクブロックの集まりとして処理します。
dump は、デバイスやファイルシステム全体をバックアップし、一部分の
バックアップや、ln によるシンボリックリンクや、1つ以上のファイルシステムに
またがったディレクトリツリーのバックアップはできません。また、
dump は、ファイルやディレクトリを構成するデータブロックをテープに書くだけで、
ファイルやディレクトリをテープに書くことはありません。
tar では、アーカイブ処理中に対象となっているディレクトリ内のファイルを
操作すると問題が起きる場合があります。この点について dump は非常に強靭に
作られており、問題が起きることはほとんどありません。このため、マルチユーザ
環境や作業を行いながらバックアップを行うには dump が適しています。
その反面、ファイルシステム単位でしかバックアップできないこと、ufs 系の
ファイルシステムにしか利用できないことなどの制限があります。
dump の書式は、以下のようになります。
% dump オプション パラメータリスト ファイルシステム
「ファイルシステム」の指定は、マウントしているディレクトリ、あるいは
raw デバイス名で指定します。
「オプション」については、よく利用するオプションを以下に示します。
0-9 dumpのレベルを指定します。
d データ密度を指定します。単位は BPI(Bit Per Inch)
f 出力ファイルを指定します。通常のファイルも指定可能です。
s テープの長さを指定します。単位はフィートです。
u /etc/dumpdate ファイルをアップデートします。
a 容量の自動設定を行います。メディア終了検出つきのドライブ用です。
出力ファイルで /dev/nrsa0 と /dev/rsa0 については、tar と同様で、
/dev/nrsa0 は書き込み/読み込みが終わった後に巻き戻しをしない、
/dev/rsa0 は処理の終了後にテープの先頭まで巻き戻します。
dump のレベルには 0〜9 があります。0〜9 のレベルを組み合わせて、
インクリメンタルバックアップを行うことができます。u オプションを付けておくと、
dump を行った日時を /etc/dumpdate ファイルに記録します。
レベルは、0 が最高でフルバックアップです。レベル 1 は、最後にレベル 0 の
バックアップを行った時点からの差分をバックアップします。同様にレベル 2 は
最後にレベル 1 のバックアップを行った時点からの差分をバックアップします。
レベル 9 まで階層的な差分バックアップができます。
d(データ密度)は、
メディア容量 = データ密度(d) × テープ長さ(s) × トラック数
という計算式より、メディアの容量を検出するために設定します。メディアの終了を
自動検出できないドライブの場合は、適正な値を設定しておく必要があります。
圧縮機能付きのドライブの場合は、単純にデータ密度と長さでは容量は決まりません
ので、メディア終了検出機能があります。この場合は、a オプションを指定することに
より、メディアの終了検知を行うドライブで、容量の自動設定を行います。
dump の実行例を以下に示します。
DUMP: Date of this level 0 dump: Sat Feb 12 07:46:30 2000
DUMP: Date of last level 0 dump: the epoch
DUMP: Dumping /dev/rda1s1e (/home) to /dev/nrsa0
DUMP: mapping (Pass I) [regular files]
DUMP: mapping (Pass II) [directories]
DUMP: estimated 5080771 tape blocks.
DUMP: dumping (Pass III) [directories]
DUMP: dumping (Pass IV) [regular files]
DUMP: 8.82% done, finished in 0:51
DUMP: 16.37% done, finished in 0:51
...
DUMP: 95.36% done, finished in 0:02
DUMP: DUMP: 5080450 tape blocks on 1 volumes(s)
DUMP: finished in 3823 seconds, throughput 1328 KBytes/sec
DUMP: level 0 dump on Sat Feb 12 07:46:30 2000
DUMP: Closing /dev/nrsa0
DUMP: DUMP IS DONE